239万人?いや、8.6万人ですよ

日本に農家は何人いるの?

という話をよく聞きます。
厳密に言うと
農家=戸
という単位であり「人」ではない為
農家が何人
という質問自体がおかしいのですが・・・

といいつつも
これまたやっかいなのが
農林水産省では何をしたいのかしりませんが
農業者のくくりがとても複雑に分かれています

その中でも
一般的に農業者の数を表すときに使われているのが

農業就業人口

となります

この数字ですと
全国の農業従事者数は平成25年で239万人となっています

239万人もいるの?!
と思われる方もいるかもしれませんし
私自身も120万人程度でいいのでは?と思っています。
(その理由についてはまたいずれ・・・)

しかし、
もっと厳密に情報を整理してみていきましょう

1.農業を普段から仕事にしている=基幹的農業従事者
2.経営耕地面積が一定以上=販売農家

という2つのスクリーニングをかけていった時に
今の農業の労働力の実態が見えてくるのかなと思います

さて、その図がこちらですがどうでしょうか?

日本が高齢化社会になっているというのとかなり近いですが
それよりも異常なほど年齢が上にいくにつれ裾野が広がってきています
若手が少ないというのがよくわかってもらえると思います

数字をもっとみていくと
販売農家でかつ基幹的農業従事者
全体数:174万1,800人

となっています

このうち
60歳以上が133万2,900人

全体の76.5%となっています

一般的な企業で定年する年齢が60歳と考えた場合
定年退職前の労働人口と考えると40万8,900人しかいません

さらに
私が普段の活動で一緒に活動をしたり
メインで応援をしている対象で考えている
39歳以下の農家は
わずか、
8万6,000人
しかいないのです!

この分布図は
このまま高齢者が引退したりされていくことはわかりますが
若手農業者はさほど入ってきていません

ここ数年は
農業就業人口だと年間で約10万人純減で推移している傾向です

総所得590万円

100万円以下の売上60%
など
いろいろな数字があるにせよ

これから若い農業者の参入がとてつもなく重要になってくることは間違いない!!

10年後にこの8.6万人が20万、30万という数字になっていかなければ
いくら規模拡大をして農業経営力をしっかり高めることが重要だと
安倍首相がお話をされていても

農業を魅力ある産業として捉えられて希望者が増えるのが先か
なんとか若手農業者を増やして魅力ある産業にしていくのが先か
どちらも重要でありGOALが同じことだとしても
その優先順位の考え方1つでこれからやるべきことが変わってきますね

【用語解説】
●農業就業人口:15歳以上の農家世帯員のうち、調査期日前1年間に農業のみに従事した者又は農業と兼業の双方に従事したが、農業の従事日数の方が多い者
●基幹的農業従事者:農業就業人口のうち、ふだんの主な状態が「仕事が主」の者
●販売農家:経営耕地面積30アール以上又は農産物販売金額が年間50万円以上の農家
●農家:経営耕地面積が10アール以上の農業を営む世帯又は農産物販売金額が年間15万円以上ある世帯

100万円以下が6割の業界?!

総所得の話では、
農家の総所得はさほど低くないように見える
という話をしました

一方で
売上での面白いデータもあります

農林水産省が出している統計データの中で
「平成25年農業構造動態調査」
というのがあります

このデータは
農業経営体
を軸にした調査結果となっています

H25年2月の結果では
農業経営体数は
151万4,100経営体
存在している

この内訳を見ると

ということになっている

【用語解説】
●農業経営体
農産物の生産を行うか又は委託を受けて農作業を行い、生産又は作業に係る面積・頭数が次の規定のいずれかに該当する事業を行う者。
(1)経営耕地面積が30アール以上の規模の農業
(2)農作物の作付面積又は栽培面積、家畜の飼養頭羽数又は出荷羽数、その他の事業の規模が次の農林業経営体の外形基準以上の農業
(ア) 露地野菜作付面積 15アール 、(イ) 施設野菜栽培面積 350平方メートル、(ウ) 果樹栽培面積 10アール、(エ) 露地花き栽培面積 10アール、
(オ) 施設花き栽培面積 250平方メートル 、(カ) 搾乳牛飼養頭数 1頭、(キ) 肥育牛飼養頭数 1頭、(ク) 豚飼養頭数 15頭、
(ケ) 採卵鶏飼養羽数 150羽 、(コ) ブロイラー年間出荷羽数 1,000羽、(サ) その他 調査期日前 1年間における農業生産物の総販売額50万円に相当する事業の規模
(3) 農作業の受託の事業
●家族経営体
 農業経営体のうち、世帯単位で事業を行う者。
●組織経営体
 農業経営体のうち、世帯単位で事業を行わない者(家族経営でない経営体)。

これをみると
日本では家族で農業をしている方々が98%にものぼることがわかる。
法人組織も1万を超えてきてはいるものの
まだまだそのパイは少ない状況が伺える

しかし
見方を変えると
150万社も存在している業種って他にあるのだろうか
製造業が約66万社
小売業が約110万社
飲食業が約40万社
う~ん、ずば抜けている・・・
(参照:経済産業省 商工業実態基本調査

家族経営で150万経営体もいる業界が
はたしてやっていけるのだろか?

競争激化にならないのだろうか?

その解答になるとはいいきれないが
1つの指標として

農業経営体を売上規模別で分布してみます

するとこうなります

まず驚くのは
年間売上高100万円未満(売上0円を含む)の農業経営体数が
全体の60%近くまで達しているということです

先日の
総所得590万円では
普通に食べていけるのでは?
と思えるような数字が出ましたが
この数字をみる限り
家族経営体の60%は100万円以下しか売上をあげておらず
農業生産だけでは生活をしていくことが厳しい!
という数字になってきます

売上を1,000万円以上あげている家族経営体は
全体のわずか8%となります
1,000万円はあくまで売上の為
それで生活ができるのか
といわれれば違う話になるかもしれません

家族経営体で平均2.5人の構成だと仮定した場合
1人あたりの売り上げが400万円程度となります

先日の総所得と
今回の販売金額をみると
大きく違う印象を受けてきますね

さてさて
農業は儲からないの?
食べていけるの?
稼げるの?
どれに見えてきますかね

もちろん
統計データというものは
カラクリがあります

色々な角度から焦点をあてていくことで
実に様々な顔をみせてくれるものです

例えば
この統計の場合
売上0円も含まれている
ということは
実際に農業生産をしていなくてもカウントされています

また先ほどの用語解説で
農業経営体の定義の1つが30a以上の面積とありましたが
この面積では、品目にもよりますが生活をしていくほど稼ぎをだせる面積とはいいにくいです
(※品目により大きく異なりますのであくまで全体的に見て)

この面積をもっていれば
年間作業日数など関係のない数字になってきます

しっかりとやっている人

でみていくとまた違うことになります

農業支援で簡単な流通は本当に簡単なのか?

活動を始めた頃から、私自身も八百屋や仲卸と関わりを持ってきました

周囲でも農業を応援したい!なにかしたい!といった場合に
関わっている農家さんや好きな農家さんの農産物を
販路拡大や販売応援をしていくことがその応援につがなる
だからそれをまず初めにやってみる
というプレイヤーが多くいます

しかし

農業支援=流通拡大

という図式は正しいのでしょうか?

正しいかどうかという前に
簡単か難しいかという考え方をしてみたいと思います

知っている農家さんの農産物を
直接飲食店や小売店舗に流通をしていく

というのを考えた場合・・・

~POINT~
1.飲食店舗・小売店舗のニーズは確かにある
2.生鮮品は消費期限が短い
3.絶対的に送料からは逃れられない

以上の3つのPOINTを考えていくと
簡単ではありません

1.飲食店舗・小売店舗のニーズは確かにある
 多くのプレイヤーがまず勘違いをするのが、農家や美味しい食材を
 知っている飲食店舗などに話をすると
 「そんなのあるんだ?いいね、扱ってみたい!」
 という声が多く帰ってきます
 そしてビジネスの鉄則通り、ニーズがあるからこれはいけるのでは?
 という勘違いを起こします

 何が勘違いなのでしょうか?
 ・本当に取り扱うニーズ?
  まず調理人としては素材に興味はもっています
  ですのでそういったフレーズを出せば興味はもってくれます
  しかし、興味があるのと買う=使うというのは全く別の理屈になります
  
 ・飲食店舗が扱う野菜の量と種類を把握していない
  飲食店舗が1日で扱う野菜の量ってご存知ですか?
  確かに、どんなメニューにも使われていますので
  1日の量でいったら結構な量になるのではないか?と甘く考えていますね
  そんなことはありません
  大抵のお店で使う量は、きっとみなさんが考えているよりぐっと少ないです

  また種類も問題です
  農家さんは何種類の野菜をつくってますか?
  トマトだけ、ホウレンソウだけでわざわざ飲食店が違うルートから素材を購入する
  というのはよほどの価値がなければ買いません
  (そのうちの1つの価値は下記の3で記載します)

2.生鮮品は消費期限が短い
  農産物は常に逃れられないのが、刻一刻とくる劣化です
  味にも影響しますが農産物は基本的には収穫後から鮮度劣化がしていきます
  ということは食べ頃が収穫した直後の為
  届いて使い始めるまでひたすら鮮度劣化をしているのです

  また、一般流通(5段階市場流通)においては
  小売店舗で陳列する日数を考慮して
  例えば苺は赤くなっていない状態で収穫したり
  トマトは緑で収穫したりもしています
  この状態で送る、届くのが普通に考えている農家・料理店などの場合
  直で流通を組むことがいかに違ってくるかを実感するものです  

3.絶対的に送料からは逃れられない
  1.2の両方に関わってくることですが
  送料という最大のネックがあります
  一般流通(5段階市場流通)の場合は最大ロットで輸送をする為
  送料は1つの個体に対して限りなく安くなりますが
  少量で農家さんから送ってもらった場合
  1箱で場所によっては1,000円近くかかってしまいます
  中身の野菜が1つ100円~200円で10個程度の場合
  送料を合わせただけで倍近い価格になってしまいます
  これではいかにいい野菜でも、飲食店が欲しいといっても、鮮度がいい状態で納品できても・・・
  価格が合わなくなってきます
  
このように
3つのPOINTだけでも難しいことがでてきますが
何より難しいのが利益をだすことです

農家と交渉をして
販路開拓をして
受発注書をおこして
ミスがあれば対応をして

金額が高ければまだ助かりますが
1回2,000円~3,000円の代金でマージンとしてとれる金額なんて
本当にしれています

1人で1億円/年の売上を目標にして
前に進めるぐらいではないかと思います

確かに
農産物の流通は許認可が不要の為
始めることは簡単ではありますが
稼ぎをしっかり生んで
その農業支援でまずは自分が食べていくことは
途方もなく大変なことです

簡単に見えるということは
参入障壁が低いということ
ということはライバルが無数にいます
そして
簡単に見えるということは
それだけ洗練されている可能性がある
ということです

まずやってみたいという思いは大事だと思いますが
様々な方々(農家・流通・店舗・購入者)を巻き込んだら
自分だけひょこっと抜けることは出来ません
いろいろと考えながらやってみましょう

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